幸福について─人生論─ ショーペンハウアーを読んで生き方を考える

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本とタイトル 幸福について

この本をなぜ読もうと思ったのか。それは、著者が厭世哲学者といわれていたからです。

厭世(えんせい)とは…

人世をはかなみ、いやに思う。

死にたく思う

三省堂漢和辞典 第四版より
†黑ミリ†
こんな哲学者が書いた本、少し気になりませんか?
†黒ミリ†
でも、翻訳だし哲学って難しそうでなかなか理解できなさそう…

だけど、知りたい!そんな強い気持ちで(笑)、ショーペンハウアーを読むのは初めてでしたが学歴のない私でも一応頑張って読めました。

飛ばした部分、理解できなかった部分もありますが、今は理解できなかったとしても何年か経って読み返した時に新たな発見ができると思うので、おすすめです。

目次

読んだ感想

幸福とは何か。幸福になるにはどうすればいいか。

明確な答えは存在しない。だからこそ考え続けたい。

まさに、これぞ哲学。

多少は、実践的なことも書いてあったりする。

そのひとつに、

何よりもまず高度の完全な健康を得て、そこから朗らかさが花と咲き出るように心がける

幸福について 人生論 新潮文庫より抜粋

といった文章があって、ではなぜそうするといいのか。読み進めると、なるほど納得できる。

自分の生活と照らし合わせてみて、実行できそうなものやむしろ既に実行していたこともあり、気付きを得るということの大切さを知る。

第2章の、人のあり方についてでは俗物の件がとても興味深かった。

第4章 人の与える印象について

結局のところを詮じつめてみるに、人間誰しも本当は自分と同質的な事物しか理解し評価することができない。

幸福について 人生論 第4章より抜粋

この文章を読んで、まさに今の自分がこの古い時代の哲学を理解するのに苦労しているのは、こういうことだからなのかと思った。

しかし、それで終わってはいけない。

自分の頭が追いついていかないのは理解しているが、いつかちゃんと理解できるように勉強は続けていく。

そうしなければ、賢者の声が時代に埋もれてしまう。

現代に必要ないものなのだとしたら、こんな自分にそもそも読まれることすらなかっただろう。

第5章 訓話と金言では、

幸福に生きるということはあまり不幸でなくすなわち我慢のなる程度に生きるという意味に解すべきものである

幸福について 人生論 第5章より抜粋

もとより人生は本来、楽しむべきものでなく、克服し始末をつけるべきものなのである

幸福について 人生論 第5章より抜粋

なるべく苦痛を無くする代わりに享楽と喜びとを目標にするのは、まことにこの上もない大間違いなのだが、この大間違いをやっている人は実に多い。むしろ極端なくらいに厭世的な見方をして、この世をいわば地獄と思い、この地獄の中に業火に耐える一室を築くことに専念する人のほうが、はるかに迷いの少ない人だと言える。愚者は人生の享楽を追いかけては瞞される。賢者は災厄を避ける。

幸福について 人生論 第5章より抜粋

という一連の言葉こそが、この本で伝えたいエッセンスが詰まっていると思った。

そしてこの本には、文章の中に色々な哲学者や有名な人物の言葉などが多く出てくるので、何を言っているのか、この文章は何か大事なことを伝えようとしているが、自分には何を言っているのかさっぱりわからないという時には、その人物について学ぶとより深い理解に繋がるかもしれない。

この本に出てくる人物

この本に書かれていることをより深く知る為には、引用で出てくる、様々な人物を知ることが重要なポイントだと思います。

引用元として巻末に載っていないので、ざっとまとめました。

まずはじめに、カルダーヌス。

『逆境から得られる利益について』という本を書いた人物です。

『幸福について 人生論』と、同じような意図で書かれた本としてあげられています。

この他にも、哲学者はもちろん作家や詩人、政治家、劇作家ギリシャ神話の登場人物まで引用でたくさん出てくるので名前だけまとめました。

  • ヴォルテール
  • エピクーロス
  • ゲーテ
  • バイロン
  • アリストテレース
  • ソークラテース
  • ペトローニウス
  • エピクテートス
  • キケロ
  • シェイクスピア
  • プラトーン
  • エスキロル
  • ホメーロス
  • セネカ
  • イェーズス・シーラッハ
  • アリオスト
  • デカルト・ルクレーティウス
  • ルーキアーノス
  • ディオゲネース・ラーエルティオス
  • ソポクレース
  • ユウェナーリス
  • ウィルギーニウス
  • マテオ
  • アレマン
  • タキトゥス
  • ホラーティウス
  • リヒテンベルク
  • エルヴェシユス
  • トマージウス
  • カルデロン
  • ストバイオス
  • ムーソーニウス
  • ゲリウス
  • クラティス
  • ディドロ
  • J.G.メリンゲン
  • ヴィンチェンツォ・モンティ
  • クセノポーン
  • ルソー
  • エピカルモス
  • ゲレルト
  • オソーリウス
  • ヘーゲル
  • ホッブズ
  • ダランベール
  • アスムス
  • テオグニス
  • ラ・ロシュフーコー
  • シラー
  • アンヴァーリー
  • ソヘイリ
  • シャンフォール
  • ペトラルカ
  • ビアス
  • ラ・ブリュイエール
  • ベルナルダン・ド・サン・ピエール
  • ツィンメルマン
  • アンゲルス・ジレージウス
  • ヨルダーヌス・ブルーヌス
  • サーディ
  • モラティン
  • プロクロン
  • カバニス
  • ウォルタースコット
  • ワーズワス
  • サウジー
  • カント
  • グラシアン
  • フランシス・ベーコン
  • テレンティウス
  • ベリズフォード
  • モーリツ

理解を深めるために押さえておきたい人物

中でも、よく引用されていた人物が何人かいるので紹介します。

  • ヴォルテール
  • ゲーテ
  • アリストテレース
  • キケロ
  • シェイクスピア
  • プラトーン
  • セネカ
  • ホラーティウス

その中でも特に、ゲーテとアリストテレースの言葉はよく出てくるので、哲学の勉強するならこの人物から押さえてみるといいかもしれません。

この本に出てきた二人の印象的な言葉は以下の通りです。

アリストテレース 「幸福な生き方とは活動の展開が妨げられずにおこなわれる生き方である。」

ゲーテ「種類の如何を問わず自己の特技を何ものにも妨げられずに発揮できることこそ究極の幸福である。」

おわりに

哲学なんて知らなくても生きていけるし、小説とか漫画が好きだから読まなくていいや。そう思っている人にこそぜひ知ってほしいというそんな本なので、私はこの本を選びました。

幸福について考えたことないって人はいないと思うのです。まさに人生の永遠のテーマであって、だからこそ数多くの小説や漫画でも取り上げられるテーマでもある。全く無関係であるとはいえないですよね。

難しいことは抜きにして、純粋に作品を楽しみたい。そんな気持ちもわかります。でも、いろんな作品に出会ってこれはこういうことだったのか、とか、あれってどういうことなんだろうとか考えるきっかけを与えてくれる哲学って知っていたらもっともっと世界が広がるのです。

わからないこともたくさんあるけど、それも楽しい。わからないことを知ることや、自分の知らない世界を知れる喜びが必ずあります。

私は読書の魅力を伝えたくてこのblogを始めましたが、この本が伝えたいことがまさに私の伝えたいことなのです。

読書で世界を広げて、ぜひ読書を楽しんでみてください。

光文社古典新訳文庫版はこちらです。

新潮文庫より古典新訳文庫のほうが、読みやすくなっています。
読み慣れていない方にはこちらがオススメです。

哲学の入門には、こちらの記事がオススメです。

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本とタイトル 幸福について

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この記事を書いた人

† 黒本 未莉 くろもとみり †


† 1982年 東京生まれ  


† 高校中退の元書店員、現在は夫と二人暮らし。
 
 本が好き。

 読書の魅力を、自分の言葉で伝えていきたい。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 苦労は買ってでもしろ。と教えられてきました。しかし、諭吉の学問の苦労は欲が目的。無目的の苦労、為にならない苦労が素晴らしい。

    • 私の勉強不足でなんと御返事したらよいかわからないのですが、コメントしていただきありがとうございます。

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