皆川博子のウー(U)を読んで、皆川ワールドの沼にハマりました

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本とタイトル ウー

今回紹介するのは、幻想文学を多く書いていて舞台や設定が海外文学作品に近い、皆川博子の小説 ウー (U)です。

私は先生の作品を読むのはこれが初めてだったのですが、見事に沼にハマりました。本の裏表紙のあらすじだけ見て、この作品に関しては前情報一切ナシで、これ絶対私が好きなやつだと確信して読んだら大正解でした。

†黑ミリ†

何か壮大な物語を読みたいという期待を裏切らない、そんな作品です。

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目次

読んだ感想

私は元々オスマン帝国に興味があって、そんな題材の小説を読んだことなかったので世界が広がりました。皆川博子作品の中で最初に読むべき作品とは言い難いですが、重厚なテーマと幻想的な部分が合わさった見事なストーリー展開でした。

この物語は第一次世界大戦の時代とオスマン帝国の時代と2つの世界線で描かれるので、どちらかに興味がないと逆に読み進めるのは困難かもしれません。

実際、冒頭部分は1915年のドイツ帝国、少し堅苦しいシーンで始まる。

でも最初の設定を理解すれば、あとはもうこの物語の世界にどっぷり浸かれます。主な登場人物たちは最初のページに載っているから、その点はわかりやすかった。

書物への思いの深さを感じられる登場人物に、感情移入が止まりませんでした。そういう意味でも私にとっては、とても好きな作品になりました。

私の好きな一節

ここからは、小説の中の好きな一節を引用していくので、ネタバレが嫌な方はスルーしてください。

書物への思いの深さが伝わる、とても好きな一節はこちらです。

私は書物から何かを得た。そうか?いや、私は書物に何かを奪われてきた。無数の文字が私のまわりで舞っている。文字はばらばらになり、勝手に集まり、意味を失い、飛び交う羽虫と変わらなくなる。文字が私の中に入り込み、私を侵蝕する。私は雑多な文字の集合体だ。

ウー 本文から抜粋

私の生を、言語化してくれると感じた一節もありました。

私は言葉を発し得ない。どのような言葉もそらぞらしい。私は無力な聞き手にすぎない。

ウー 本文から抜粋

こういう騒擾の中にいると、私は自分が外皮だけになったような気がした。中を充たすものは何もない。

ウー 本文から抜粋

オスマン帝国に思いを馳せる

この物語の中で私的に注目してほしいのは、オスマン帝国時代にあったデウシルメと呼ばれる強制徴用の描写です。

キリスト教徒の少年たちを強制的にイスラム教に改宗させて、帝国に従わせる。逃げることはできない、そんな少年たちの行き場のない怒りや不条理に、なんとも心をえぐられるのです。

この作品は幻想小説ですが、デウシルメは歴史上で実際にあった出来事なので、もしそんな少年たちの心の中を覗いたらこんなふうだったかもしれないと思わせるくらいに、緻密でリアルな文章の連続でした。

そこは本当に、さすが皆川先生という感じです。

これで実際の歴史にも興味が更にわきました。巻末には、先生が参考になさった資料が載っているのでそちらも手に取ってみるのもいいかもしれません。

†黑ミリ†

私が気になった参考資料はこちらです

皆川博子他の作品

皆川博子の作品はたくさん出版されています。

濃厚な読書体験をしたいという方にオススメの作品はこちらです。

最後までお読み頂きありがとうございます。

皆川博子の薔薇密室と死の泉は、セットで読むとより世界観を堪能できます。

あなたの欲しいはココにある


本とタイトル ウー

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この記事を書いた人

† 黒本 未莉 くろもとみり †


† 1982年 東京生まれ  


† 高校中退の元書店員、現在は夫と二人暮らし。
 
 本が好き。

 読書の魅力を、自分の言葉で伝えていきたい。

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