村上春樹の長編を読む前に、「女のいない男たち」を春樹初心者に薦めたい

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本とタイトル 女のいない男たち

今回紹介するのは村上春樹の短編集なのですが、この「女のいない男たち」は村上春樹特有の喪失感を存分に味わえ、

しかも濃厚な村上ワールドを展開している物語が6つも入っています。

長編小説に挑戦するのをためらっている、そしてまだ村上春樹を読んだことがない人にオススメしたいです。

†黑ミリ†

300ページ程の文庫本なので、一つの物語も読みやすい長さになっています。


目次

ドライブ・マイ・カー作品紹介

文庫本と映画チケット
†黑ミリ†

短編集の目次です

  • まえがき
  • ドライブ・マイ・カー
  • イエスタデイ
  • 独立器官
  • シェエラザード
  • 木野
  • 女のいない男たち

一番最初の話は「ドライブ・マイ・カー」という作品で、映画にもなりました。

この映画は、第94回アカデミー賞で、国際長編映画賞を受賞した作品でもあります。

映画の方では絶妙に「ドライブ・マイ・カー」の話の中に、短編集の4つ目に入っている「シェエラザード」の話が盛り込まれていて、それはそれで小説とは違う魅力がありました。

この短編集を村上春樹を知らない人に薦めたいと思ったのは、比較的性描写が少ないと感じたからでした。

「シェエラザード」と「木野」には少しありますが、全体を通して見るとこの短編集には他の春樹作品に比べたら、断然性描写は少ないです。

†黒ミリ†

原作のドライブ・マイ・カーに性描写はないけれど、映画版はけっこうあったので注意が必要です・・。

村上春樹を毛嫌いする人の多くは、性描写が苦手意識に繋がっていると見受けられるので、そういう意味でこの短編集は春樹作品初心者にはいいと思います。

それに春樹作品の長編小説に見られる、わけのわからない世界に行くようなファンタジー要素もないので、今までそのファンタジックな面で毛嫌いしてきた人にも、読みやすい作品になっています。

そして、私が個人的に春樹作品で一番好きな 喪失感。特に、タイトルの通りに「女のいない男たち」の喪失感を描かせたら天下一品だと私は断言します。

静かに、そしてゆっくりと失うことについて、考えたくなるそんな物語が詰まっています。

それぞれの物語で違うかたちの喪失感が描かれていて、とてもよかったです。

†黑ミリ†

私のお気に入りのセリフと場面は、ドライブ・マイ・カーのこんなワンシーンです

みさきは窓ガラスを下ろし、車のライターでマールボロに火をつけた。そして煙を大きく吸い込み、うまそうに目を細めた。しばらく肺に留めてから、窓の外にゆっくりと吐き出した。

「命取りになるぞ」と家福は言った。

「そんなことを言えば、生きていること自体が命取りです」とみさきは言った。

女のいない男たち 63ページより抜粋

静かなシーンの中にも、こういったセリフで言葉選びのセンスがきらりと光るのが、村上春樹の小説の魅力のひとつといえます。

短編集の魅力

村上春樹の短編集は他にも色々出版されています。

今回の「女のいない男たち」とはまた違う、村上春樹独特の不思議な世界に浸れる短編集でオススメは

「一人称単数」という作品です。

こちらも、200ページちょっとで読めて8作品入った短編集なので、不思議な村上春樹ワールドを堪能したい方は読んでみてください。

†黑ミリ†

村上春樹は翻訳小説も数多く出版されています。

中でも恋愛小説に特化した短編集があります。

9作の翻訳小説に加えて、書き下ろしされた村上春樹の小説一編も入った、珠玉の短編集「恋しくて」。

こちらの短編集には、ひとつの作品ごとに村上春樹のコメントがついている珍しいアンソロジーとなっています。

このコメント付きというだけでもとても魅力的なのですが、翻訳小説アンソロジーのいいところは色々な作家の作品を知れることです。

まずは短編で読んで、気になったら長編を読んでみる、というふうに読書の世界を広げることができます。

「恋しくて」の中で私が大人の女性に特にオススメしたい作品はこちらです。明るいストーリーではなく、経験を重ねた大人だからこそ味わえる作品になっています。

  • 「薄暗い運命 」 リュドミラ・ペトルシェフスカヤ
  • 「ジャック・ランダ・ホテル」 アリス・マンロー
†黑ミリ†

何を隠そう、私は村上春樹を知ってから海外文学にハマったくちです。それまで翻訳小説の良さがわからなかったので、そういった意味でもこの短編集はオススメです。

村上春樹の作品に初めて触れる方に向けた、はじめての文学シリーズ  というものも出版されています。

著者本人が選んだ、アンソロジーになっています

†黑ミリ†

好き、嫌いがハッキリ分かれることが多い村上春樹の小説ですが、短編集なら入りやすいのでぜひ手に取ってみてください。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

† 黒本 未莉 くろもとみり †


† 1982年 東京生まれ  


† 高校中退の元書店員、現在は夫と二人暮らし。
 
 本が好き。

 読書の魅力を、自分の言葉で伝えていきたい。

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