今回はNHK出版から出ている学びのきほんというシリーズの、しあわせの哲学を読んで気がついたこと、わかったことなどを書いていきます。
この本はこんな人にオススメ
- 哲学を勉強したいけど、何から読んだらいいのかわからない初心者
- しあわせって、何?と常日頃考えている人
- 悩みながら日々頑張って生きている人
- なるべく難しい本を読みたくない人
悩みを言語化する
まず、表紙にある文言に 「わたし」の輪郭を一望する
とありますが、まさにこの本を読んで実感した言葉です。
言葉の通り自分を見つめ直すことができ今までモヤモヤしていたこと、悩みの根源とでもいいましょうか、そんなものが浮き彫りになった感じです。
哲学とは本来様々なことについて考えることだと思うのですが、決して答えを出したいわけじゃない。
特にどうすればしあわせになれるかなんてそれこそハッキリとした答えが存在しないと思うのです。
この本を読んで、人生の悩みがよりわかって著者と対話する形で、自分の場合はこうだなとか考えながら読み進めていくといいと思いました。
まさに一石二鳥の本です。
どう生きるのが幸せかという難題に、自分の考えや言葉だけでは到達できないことが、この本の中ではそういうことだったのか!
と理解ができる。
心ではわかっていても、はっきりと言葉にするのは難しい。
言語化されるだけでもモヤモヤしていたことがわかるので、悩み解決の一歩に近付くことができます。
例えば自分が何かしらの病で、しかし自分では病気だと認識していない場合、この体調不良は何なんだろうとモヤモヤが余計に増幅することがあると思います。
ところがその体調不良が病気だとわかりその上病名までわかってしまえば、少しは安心できると思うのです。
言語化されるということにはそれなりの効果があるんじゃないかなと私は思います。
悩み解決のヒント
今まで自分が悩んでいたこと、全ては同じところに行き着くのではとこの本を読んで気づきました。それは
自分がしたい!
と、思ったことが
自分の実力で出来ていなかった
- 理想と現実のギャップに常に苦しめられていた
- やりたいこと = できること ではない
これがわかっただけでも私にとっては大きな収穫でした。
皆さんにとっては当たり前のこととして認識されているかもしれません。
でも実際、これに尽きると思います。
詳しくはこの本を今、自分が悩んでいることに当てはめて考えながら読んでいただくとより深く理解できます。私は読めば読むほど、現代社会の生き辛さを痛感してしまいました。
第三章の承認を求めて生きるの箇所では、特に承認欲求について考えさせられました。現代人の多くはツイッターやらインスタグラムなどで多かれ少なかれ承認欲求を満たしていると思います。私もそんな現代人のひとりですが、人は何にも増して複雑な生き物なのだと実感しました。
生命を維持するために、食べて寝るだけの生活では人間は幸せには生きられない。
人が人として幸せに生きる。
それが一体どういうことなのか。そんなこと、今までたくさん考えてきたよ。
そんな人にこそ是非改めて考えてもらいたいのです。
そこにはあなたの悩み解決のヒントが隠されているかもしれません。
まとめ
この本はいわゆる初心者向けの入門書で、巻末には著者の既刊本ももちろん引用された哲学者たちのブックガイドも載っています。
ブックガイドに載っていた、主な哲学者は以下の通りです。
- セーレン・キルケゴール
- マルティン・ハイデガー
- ジョルジュ・バタイユ
- プラトーン
- ソクラテス
- ルソー
- ヘーゲル
- ニーチェ
とても参考になると思うのでこちらも是非活用して、さらなる哲学の深みへ足を踏み入れてください。
ブックガイドに載っていた西研の本はこちら
学びのきほんシリーズ オススメ本
学びのきほんシリーズの哲学入門で私がオススメしたいもう一冊の本です
第一章では「ソクラテスの弁明」についてですが、私が納得した部分があったので引用します。
普通、私たちは、何を語るかを考え、どう語るかを考えます。しかし、ソクラテスは別な道を行くのです。
どう語るかは、何を語るかに勝るとも劣らない問題だというのが彼の確信でした。
考える教室 第一章16ページより抜粋
これは本当にそうだな、と思いました。同じことを言っていても、ある人の語り口だとすっと自分の中に入ってくることがあります。
この部分では本の要約についても触れられていて、内容だけ知りたければネット上でいくらでも知ることができる。
しかしそうではなく、どう語られたのかを知るためにはどうしても自分で本を読む必要があると言っています。
とても大事なことだし、改めて読書の意味を知ることができました。
そしてもう一つ読書について大事なことがあります。
心を揺すぶられながらも読み進めることができない書物、それは終わることのない対話の相手になります。
考える教室 第一章24ページより抜粋
自分にとって難しく理解できない本に出会うことがあっても、どういうことなんだろうと、考え続け問い続けることこそが大事なんだとわかって、これからの学びに大いに勇気をもらいました。
第二章ではデカルトの「方法序説」についてで、この章を読んでから方法序説に挑めば、よりわかりやすく読めると思います。
デカルトは、私たちに何かを「学ぶ」ことと、何かを「生きる」ことは違うというのです。
さらには、何かを「学ぶ」ことと「生きる」ことの両方の道があることを伝えている。
どちらかだけではなく、私たちは両方を同時的に生きなければならないということを、デカルトは解き明かしてくれているのです。
考える教室 第二章49ページより抜粋
第三章ではハンナ・アーレントの「人間の条件」についてで、こちらもここで勉強してから人間の条件を読むといいと思います。
私たちは何を着るかをあまりに流行にまかせてはいないでしょうか。
何を食べるのかを評判にまかせてはいないでしょうか。
こうしたことを省みるのが哲学の原点です。
考える教室 第三章59ページより抜粋
第四章では「信じる」ことについてで、哲学において大事なことだと思った部分を引用します。
重要なことを教えてくれるのは、信頼している人だけではないことは誰でも知っています。
嫌いな人が大切なことを教えてくれることは少なくありません。でも、そのことを認めるのは大変勇気のいることです。ー中略ー
学びとは、自分が信頼する人からのみ受け取ることに終始するのではありません。
これも学びの重要なレッスンです。
考える教室 第四章84・85ページより抜粋
様々な時代の哲学者から学ぶ上では、どうしても好きにはなれない思想の哲学者も多くいると思います。
そんなときは上記の言葉を思い出して、自分の学びを止めることのないようにしたいです。
ここから紹介する本は、考える教室の巻末に載っていた本の中から、私が読みたいと思った本たちです。
巻末には載っていませんが、人間の条件は新訳版もあります
著者の若松英輔の本はこちらです
ストーリーで哲学を学びたい方は、こちらの記事で紹介した本がオススメです。
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