現代ポルトガル最重要作家の代表作、エルサレムを読んだ感想

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本のタイトルと十字架

今回は、ゴンサロ・M・タヴァレスというポルトガルの作家の代表作であるエルサレムをご紹介します。

私がこの作品を読もうと思ったのは、まず表紙の感じとタイトルに惹かれてだったのですがあらすじと帯に書かれた一文を見て、これは自分が好きそうな物語だと確信できたので読みました。

帯の一文はこちら

死病を患うミリアを苛む、精神病院で過ごした痛みの記憶。

虐殺と神経症の時代に捧げる、暗黒のロマンス。

帯より抜粋
†黒ミリ†

暗黒のロマンスなんて・・・シビれます!

本の装丁もシビれる、エルサレムはこちらです

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このエルサレムはポルトガル国内でベストセラーになり、ポルトガル・テレコム文学賞やジョゼ・サラマーゴ文学賞を受賞しています。ジョゼ・サラマーゴとは、ポルトガルのノーベル文学賞受賞作家の名前です。

ジョゼ・サラマーゴの代表作はこちらです

†黑ミリ†

ジョゼ・サラマーゴ文学賞を受賞する際、サラマーゴ本人から「ゴンサロ・M・タヴァレスはたった35歳でこんなにすごい本を書くなんて、ずるいじゃないか。叩いてやりたくなる」と、言われたエピソードは有名になっています。

†黒ミリ†

そりゃ現代ポルトガル最重要作家の異名をとるのも納得ですわ・・・!

目次

エルサレムを読んだ感想

エルサレムよ  もしも、わたしがあなたを忘れるなら  わたしの右手はなえるがよい

エルサレム168ページより抜粋

これは旧約聖書にある詩編の一節なのですが、エルサレムというタイトルでもあるので宗教的なストーリーなのかと思いきや、そうではありません。

ただこの物語において、主人公であるミリアがこの文言を思い出すシーンがとても重要だと思いました。

ストーリーは宗教的でないにしても、ミリアの物語は教会に行くところから始まり、教会に入るところで終わるのでそこには何か意図的なものがあるんじゃないかなと思います。

主要な登場人物たちは皆、どこか歪んだ欠陥を持っているようでそれがまた惹きつけられます。

  • 精神疾患と死病を患う主人公ミリア
  • 自殺を試みるミリアの元恋人エルンスト
  • 娼婦を求めさまよう精神科医で、今は落ち目の学者であるミリアの元夫テオドール
  • 父親を探す少年カース
  • 銃を忍ばせて獲物を探す、殺し屋の顔をした元兵士ヒンネルク

そんな濃いキャラクターたちが織りなすそれぞれの物語が重なっていき、思いもよらない結末へとストーリーは進んでいきます。

256ページある長編小説ですが、一気読みしてしまうくらい引き込まれる作品でした。

†黑ミリ†

私にとって、こんなことは滅多にありません!

一気読みできた理由のひとつとして個人的にあげておきたいのは、良い意味で  海外文学らしくない  ということです。

海外文学だと注釈が多くて物語に集中できないということがよくあると思いますが、この作品はそれが一切なくとても読みやすかったので、普段は海外文学を読まない人にぜひオススメしたい本です。

ただし、明るい物語ではないのでほっこりしたい人にはオススメできません。

人間の暗部を深くえぐるような作品が好きな人には、楽しんでもらえるはずです。

個人的には、日本人作家でいうと中村文則の作品が好きな人なら同じ匂いを感じとれるのではないかと思いました。

私がエルサレムを読んで、思い出した中村文則の作品はこちらです。

物語を通して何かを考えさせられるというよりは、ストーリー自体を楽しむ、そんなエンターテイメント要素の強い作品です。

あまり知られていない海外文学作品の中でも、こんなに面白いのがあることを知ってもらって、これをきっかけにいろんな海外文学が読まれるといいなと思います。

ゴンサロ・M・タヴァレスの他の作品

残念ながら今のところ、他の長編小説は翻訳化されていないのが現状です。

唯一あるのが短編小説で、「ヴァルザー氏と森」というタイトルで、現代ポルトガル文学選集に収録されています。

他の作品も日本で翻訳され本になる日が待ち遠しいです。

とはいえ、ポルトガル文学が日本に根付いているかといわれるとそうとは言えないですよね。かくいう私自身も、エルサレムを読んではじめてポルトガル文学に触れました。

そもそも海外文学を読まない人も多いのではないかと思います。

面白い作品がたくさんあるのを知ってもらいたくて、今回はエルサレムを紹介しました。

ここからどんどん世界が広がって、いろんな海外文学が日本で読む人が増えてくれたら嬉しいです。

その他の外国文学

私のような日本語しか読めない人間がいろんな海外文学を楽しむには、翻訳者さんがいてくれないと話になりません。

翻訳者さんには本当に感謝しかありません。そんな翻訳者さんにフォーカスをあてた面白い本があります!

ポルトガル語の翻訳をしている方も載っています。私もまだまだ知らない外国文学がたくさんあるので、これから挑戦したいと思います。皆さんもぜひ、世界を広げてみてくださいね。

†黑ミリ†

最後までお読み頂きありがとうございます。

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この記事を書いた人

† 黒本 未莉 くろもとみり †


† 1982年 東京生まれ  


† 高校中退の元書店員、現在は夫と二人暮らし。
 
 本が好き。

 読書の魅力を、自分の言葉で伝えていきたい。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして。
    サラマーゴの「白の闇」と「あらゆる名前」が強く印象に残っていて、ポルトガルという文字にひかれて貴サイトを訪問しました。「エルサレム」も読んでみようと思います。

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